クロックワークスケンヂの亡霊

A:「イッテキマス」
B:「アナタ イッテラッシャイ」

そうしてケンヂは毎朝
仕事に出かけるふりをして
人を殺している

環状線で居眠りをしている演技をしながら
近日通り魔を犯しそうな めぼしい人間をピックアップしては
後押していく
そういう人間を管理し寝入りばなにそっと囁くのだ

君は透明な存在だ
君は全員に無視されている
こんなにすごいのにね
君に力があることを証明してやろうよ
明日やろう 明日だ
どんなところに君が閉じ込められているのか 誰も知らない
教えてあげよう せかいに きみの存在を

やがて365日どの駅でも通り魔が起きる
むしゃくしゃしており 誰でもよかった
愛し
愛されるなら誰でもよかった
一生を通じて互いにに高め合っていけるようなパートナーであれば誰でもよかった
背が高くイケメンで高給取りで性格がよく相性があえば誰でもよかった
地球に産み落とされたということにむしゃくしゃしていた
完全に守ってくれる両親であればどの親でもよかった


通り魔事件は
基本的に金銭目的でないことをケンヂは応用したのだった
もっとも切羽詰まった人間が毎日逮捕され
そうなることを恐れている人間が毎日手錠に鍵をかけ
ケンヂは概ね18時か19時には家路につき
家庭に月々62万は入れ
永遠に前科はつかず
来月ケンヂには子供が産まれる




















コメント