人差し指でショパンを

その閉鎖病棟の食堂の角には
一台のエレクトーンがあり
たまに、人差し指で
ショパンのノクターンを弾いた
まあ、始まりの一節しか弾けないのだが

隣室の学生が 
拘束される部屋に入れられ
静かな病棟内に彼の奇声が響き渡り
自由に出入り出来る中庭に面するカーテンは静かに揺れ続けた

自分は許可を取れば外出が出来たので
よく近くの市営球場に忍び込んでピッチャーマウンドに立ち
ビーチサンダルで土を鳴らした
やがてアルプスからの声援とブラスバンドが聞こえてくる-













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