ミチルとウェルテルの古代ハモニカ 地球

ミチルとウェルテルの古代ハモニカ

第三章 地球

バラックのどこかで
あるいはマンホールの住人の誰かがラッパを叩いている
どぶねずみが排水溝を走り抜け
月は満ち、及び欠け
テレビは音もなく流れ続け
毎日誰かが死ぬことを伝えている
皆さん、死なないようにしましょう
いつか絶対死ぬけれど
死を回避して仲良くしましょう
いつか絶対死ぬけれど

ミチルの脳波はアレキサンドラ・キルのスネアの入りをキャッチし続けている
時たまそこからすべてが始まる気がした
アレキサンドラ・キルのスネア
かつてナイロビのリズムともナイルのアイコンとも呼ばれたラッカ音楽の王である
キルがアジアツアーで暗殺された夜
ミチルは私有地に立ち入ってどんぐりを拾っていたという門出
三日間アライアンスでもんどりをうったあと釈放された
いや、街に放り出された
無一文のミチルは同性愛者に体を売り生計を立てた
ミチルは男たちの欲望を受けて立った
ポッケにはどんぐりがあった
少しずつ悪いことはおぼえた
身を守るために
見上げる空には
ほうき星や
大陸間弾道ミサイルが飛び交ったが
青空がなんだっていうんだろう
青のクレパスなら私も持っている
そんなミチルのみじめな
不本意な生活に
手を指し伸びたのが
ウェルテルであった
















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