スペースストーリー#1

「まあ、淡々とやるしかあるまーに」と
四つん這いで片方の眼球が飛び出したアレッサンドロ・パピコフが
全身ただれた皮膚ではにかむので
俺は「そ、そうだな」と言って
空っぽのトレジャーボックスの上でナイフをなめる仕草をみせて精一杯強がるしかなかった
窓の外、酸素は薄い

時はハイパー宇宙暦X年
人工重力の応用により、人類は新たなる文明を築こうとしており
資本家による空間と空の所有がはじまった
また同時に、地上の植物の急激な死滅により酸素に関する問題が取り沙汰され
人々は緑を育てようとあれこれ尽くしたがうまくいかず
ある科学者はそれを太陽の温度上昇が原因だといい
あるアフリカ系のシャーマンはそれを花の精霊が地上から消えたからだといった

どちらにしろパピコフにしろ俺にしろ
紙幣で現実を動かせない人間たちが窮地にたっていたことは事実なんだ
パピコフの皮膚が溶けて床に落ちると部屋が汚れるのでそれが現実的に厭だった
俺が家賃を払っているし!
しかし、床に人間の 親友の皮膚が 沢山落ちているのはいやなものである
俺は時にナイフの先端でパピコフの皮膚を突き刺し
部屋の隅に集めておく
夜になれば、壁の向こうから小動物がこれらを食べに来る
真夜中の侵入者
俺は彼らをナイトと呼んだ



つづく




















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